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バイトの塾講師が生徒のために出来ることは何か考えてみるブログ

おすすめ?楽・高時給?塾講師・家庭教師のバイトに応募する前に【メリット&デメリット】

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大学生におすすめのバイトとして紹介されることが多い塾講師家庭教師のバイト。時給の良さなどたくさんの魅力があることは確かですが、一方で負担や責任が大きいのも事実です。「時給も良いし教えるだけなら楽そう」という思いで塾講師や家庭教師のバイトに応募する前に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。



「勉強を教える」ということ

塾講師・家庭教師に求められる役割

一般的な学習塾や家庭教師仲介業者は、「生徒の学力・成績を上げること」を最大の目標としています。本来ならば学校の授業や自学自習だけで勉強を完結させるのが理想ですが、学校は「学力を上げること」だけを重視しているわけではないため、知識が十分に身に付かなかったり授業に追いつけない生徒が多く出てしまうわけです。

一方で、行きたい中学・高校・大学を目指し受験を勝ち抜くためには、学力は必要不可欠となります。このような状況があるからこそ、「お金を払ってでも学力を上げたい(上げさせたい)」という需要が生まれ、それに応える形で学習塾というビジネスが成り立っているのです。

この視点に立てば、バイトの塾講師・家庭教師が果たすべき役割も「生徒の学力・成績を上げること」に他ならないわけであり、生徒やその保護者もそれを求めているのです。担当生徒の成績を上げることが出来れば講師としての評価も上がっていくことになります。

「知識の提供」だけで生徒の学力は上がらない

生徒の学力を向上させるためには何が必要なのか。多くの塾講師バイトでは、主に生徒への授業担当や質問対応を行うことになります。学習塾側から提供されるカリキュラムに沿って授業をしたり、生徒がつまずいている問題の解説を行うなど、生徒に知識を提供することがメインとなります。

では、それだけで生徒の学力を上げることは出来るのでしょうか?

私個人の意見にはなりますが、答えはNOです。私が個別指導塾で生徒を指導していて思うに、塾での授業時間だけの学習で学力や成績が伸びる生徒はごく僅かです。文部科学省が行っている全国学力・学習状況調査によると、2017年における中学生の通塾率は61.2%*1となっています。つまり、塾に通っている中学生の方が多数派であり、ただ塾で勉強するだけでは周りと差がつきづらくなってきているのです。

講師という立場で考えれば、授業などで生徒にしっかり勉強をさせたとしても、それは他の塾に通う多くの学生もしていることであり、結果として勉強しているはずなのに成績が中々伸びず、生徒が自信を無くすという状況に繋がってしまいます。

生徒の学習状況の確認は必須の仕事

それでは、一体どうすれば生徒の成績を上げられるのか。
具体的な指導方法については後日別記事でまとめるつもりですが、ここで伝えておきたいのは、実際に「生徒の学力・成績を上げる」という目標を達成するためには、授業や質問対応を通した「知識の提供」だけでなく、定期テストや受験に向けた「学習計画の作成」「勉強の動機づけ」が必須になるということです。

学習計画の作成のためにはある程度指導時間外から時間を捻出する必要がありますし、計画通りに学習を進めるために宿題を課したり確認テストを行うなど、生徒の学習状況に気を配る時間を増やさなければなりません

逆に言えば、生徒の学習状況を逐一確認し、それに合わせて授業を行うことはもちろん、授業時間外での勉強の取り組み方にも向き合える講師こそが、生徒の成績を上げられる講師であり生徒や保護者に求められている存在なのです。

塾講師・家庭教師のバイトは楽か

指導の負担と生徒の成績はトレードオフ

ここまで、塾講師や家庭教師に求められる役割とその仕事について見てきました。基本的に、楽に生徒の成績を上げさせるような指導方法はありません。どんなにわかりやすく授業をしても、結局のところ勉強するのは生徒本人です。

生徒が自立して勉強できるようにならなければ、成績は上がらないといって良いでしょう。そのサポートとして、生徒と一緒に学習計画を作成したり、宿題や小テストを課し学習の進度を管理するなどして生徒に真摯に向き合うことで、成績が少しずつ伸びていくのです。

ちゃんとやればやるほどコスパは下がる

塾講師・家庭教師のバイトは、他の飲食業や接客業のバイトに比べ比較的時給が良い傾向にあります。個別指導では時給1200~1500円、集団授業では時給1500~2000円、家庭教師となると時給2500円以上になることも珍しい話ではありません。

一見すると非常に稼げるバイトのように感じますが、今まで述べてきたように「生徒の学力・成績を上げる」という目標を達成したいのならば、授業時間外(労働時間外)でも生徒のために時間を費やす必要が出てきます

つまり、塾講師や家庭教師になった際に、「生徒に真摯に向き合って成績を上げさせたい」と考えている人にとっては、あまりコスパが良くないバイトになる可能性が高いです。一方で、指導をバイトと割り切って、与えられた業務(授業)だけを行うつもりの人にとってはコスパの良いバイトになることでしょう。

もちろん、前者の場合にはお金には代えることのできないやりがい、達成感といった報酬を得られます。実際、定期テスト前の期間などは非常に忙しく大変ではありますが、テストが終わって生徒が笑顔で点数を報告してくれたときには、何ものにも代えがたい喜びを感じるものです。

塾講師・家庭教師のバイトはするべきか

以上のことを踏まえて、塾講師・家庭教師のバイトは賢い選択だと言えるのでしょうか。確かに、このバイトは時給が高いものが多く、また労働内容としても肉体的にきついものではありません。

しかしながら、たとえあなたがバイトだと割り切って指導をしていたとしても、生徒は「成績を上げてほしい」と確実にあなたに頼ってきます。そんな生徒の純粋な目を見て、「ただのバイトだから...」なんて言えるでしょうか?

どうやったら一人一人の生徒の成績を上げられるのか、その方法を見つけ出すのは楽なことではありません。正直なところ、かなり大変です。しかし「勉強を教える」ということは、成績を上げることにとどまらず、生徒の将来の可能性を広げることにも繋がります。あなたの指導をきっかけに、生徒が新しい可能性を掴むことだってあり得るのです。塾講師・家庭教師のバイトは責任も大きいですが、それ以上に達成感と楽しさのある仕事です。生徒と共に自分自身の成長にもきっと繋がっていくでしょう。

この記事を踏まえて、「勉強を教える」というバイトに対してあなたが何を求めるのか、ぜひじっくりと考えてみてください。塾講師・家庭教師のバイトに応募する上で、何かの手助けとなれば幸いです。

*1:国立教育政策研究所『平成29年度 全国学力・学習状況調査 報告書 【質問紙調査】』より